(僕を死んだことにして下さい。)
というお願いをあの“子”からされた。
あの時あの“子”は心が壊れる寸前だったがなんとか持ちこたえていた。
黒い幽霊団の基地で何が起きたかは知らないが余りにも酷い状況だったのだろう…失語症、精神疾患、睡眠障害、摂食障害等に罹っていた。
だから言葉自身を聞いた訳ではないがイワンが丁度目を覚ましていてあの“子”の思いを代弁してくれていた。
ただ何をするでもないまま、ぼーっとベットに腰かけていたあの“子”はワシらの苦しみも悲しみを見てずっと苦しかったのじゃろうて…。表情は解らなかったが心を痛めてたのじゃろう…、その彼が
(お願いします…。皆が悲しんだり苦しんだりする姿を見るのは忍びない…だから僕を死んだことにして下さい。)
と言う思念をイワン経由で送られてきた。もちろん儂は反対じゃった…やむなくイワンの言うとおりにしてジョーはコズミ博士に預け、
「ジョーは死んだ」
と言う非情な言葉を悲しむと解ったうえで皆に伝えなけばならなった。
本当にこれで良かったのかは解らない…。
何度も何度も儂らの危機を助けてくれる“彼”。
その“彼”を見ていると一瞬目が合い何も言うなという風に首に横に振る姿を見てあの“子”が生きて元気になってくれたと安堵したよ…。